金融機関が創業融資を審査する際、4つのポイントがあります。
①自己資金を貯めておく
前の記事でも書きましたが、融資を円滑に借りようとすれば、3割程度の自己資金は準備しておく必要があるということを知っておいてください。
日本政策金融公庫のホームページに「創業Q&A」というページがあります。この中に「Q4自己資金はどれくらいあればよいですか?」という質問があり、その回答は「一概には言えませんが、「2013年度新規開業実態調査」(日本政策金融公庫 総合研究所調べ)によると、創業資金総額に占める自己資金の割合は27%となっています。
自己資金以外には、金融機関等からの借入金が61%、親族が6%、その他が6%となっています。
事業が軌道に乗り資金繰りが安定するまでにはどうしても時間がかかります。
借入金の返済や予想外の出費で資金繰りが苦しくなるなど、さまざまな問題が起こります。
万一の時に備えて数か月分の経費相当分はとっておくなど、ゆとりを持った創業の資金計画をたてることが大切です。」となっています。
自己資金を貯めておきましょう。
②創業するビジネスの経験を積んでおく
創業する事業に関する経験がなければ、創業融資を貸してもらうのは難しくなります。
逆に経験が豊富であれば、多少自己資金が少なくても融資してもらうケースも多々あります。
事業計画書は創業計画書で自らの経験をアピールしておくのは、創業融資にプラスに働きます。
アピールポイントは、「過去に携わってきた業務内容」、「実績」、「これからはじめる事業に関する経験」、「ノウハウ」、「スキル」等、「ビジネスを成功させることのできる根拠」です。
最低3年以上の経験は積んでおきたいものです。
③返済可能性を高めておく
借りたお金を確実に返済するために必要なことは、事業の成功率を高めること。
事業の成功率を高めるためには、事業を開始する前に「成功するために必要なこと」を徹底的に考えておくことに他なりません。
では、どんなことをあらかじめ考えておかなくてはならないのか。以下の9つです。
- 経営理念・ビジョン(創業する目的)
- 事業概要
- 経験・経歴・実績(自分自身の棚卸し)
- ターゲット・市場ニーズ
- 商品・サービスの詳細
- 事業を進める上での強み・弱み
- 競合分析
- マーケティング計画
- 数値計画(収支計画・投資計画・資金計画)
これらをしっかりと考えておくことで、事業を成功させるための「戦略」をしっかりと立てることができます。
これら9つを「見える化」したものが「事業計画書」です。
しっかりした事業計画書を作成する事ができれば、自己資金が少なくても、そのビジネスの経験が多少乏しくても、事業を成功させることは可能になります。
そのため、自己資金、経験とも足りない場合でも、金融機関は返済可能性を高く評価してくれることもしばしばあります。
返済可能性を高めるにはしっかりとした刺さる事業計画書を書けることは必須です。
④資金の使いみちを明確にしておく
「資金調達」とは、「申込者は、借りた資金を何に使うのか?」ということです。
「資金使途」が明確になっていないということは、「申込者がその資金を何に使うのかわからない」ということになってしまいます。
使いみちのわからないお金を貸すような金融機関はありません。
次に金融機関が気にするのは、「その資金の使いみちは妥当なのか」ということ。
「営業に使うための車を買いたいのでお金を借りたい」。この理由なら、購入資金を融資するのは、金融機関にとって問題のある融資とはいえません。
しかし、「ベンツを買うのでお金を借りたい」となると話は別です。
創業者がベンツに乗って営業するのは、分不相応だと考えられます。
このケースでは「資金使途に妥当性がない」と判断され、融資はNGとなります。
事業主が必要とする資金は2種類。「運転資金」と「設備資金」。
これらの使いみちを明確にするために、「運転資金」の場合は「収支計画書」または「資金繰り表」を、
「設備資金」の場合には「見積書」を準備しておく必要があります。